公開日: 2025/05/27
更新日: 2025/06/11
若者が見ている二輪業界とバイクアパレルは、50代のメインターゲットのウケを狙ってばかりで「的外れ」の感が否めない。この業界にとってこれからの若い世代が、どのようにバイクカルチャーを変革していくのか、最も可能性を秘めているのがバイクアパレルの分野である。
現在のモーターサイクルカルチャーには失敗しない方程式がある。それは予めターゲットを絞り込んで、ヒット商品を企画・販売するという戦略である。二輪メーカーにもアーカイブモデルは存在する。そのメインターゲットはかつてのバイクブームを支えた現在50代以上の世代だ。
カルチャーの核であるバイクがアーカイブであれば、それに関係するパーツも追従する。カスタムもしかり、である。メーカーは目標販売台数以上を生産しなくて済む。アフターマーケットパーツは、対象となるバイクの売り上げ動向を注視しながら、商品開発を行えばいい。
しかし、ここには一つの問題がある。πの大きな中高年には理解できても、若い世代には理解不能であるという世代間ギャップだ。中高年の「懐かしい」が時代を超えて「新しい」になるとは限らない。SNSを駆使してあらゆる情報に敏感な世代は、固定概念に囚われている既存のモーターサイクルカルチャーに刺激は受けないかもしれないのだ。求められるのは新しい文化の提案である。
そもそも「カルチャー=文化」とはユーザー、つまり大衆が育むものである。それは時にメーカーやメディアの思惑を飛び越えたうねりを起こす。過去には、TWやビッグスクーターの大ブーム、現在のビンテージバイクの高騰などがそうだ。何らかのキッカケはあったにせよ、それらの大ブームを誰も想像していなかった。
今回紹介するNOISECOAT(ノイズコート)もそんなバイクアパレルブランドの一つ。代表の志村俊さんは45歳。この世界では若手と言われる年齢である。
志村さんは二輪の専門学校卒業後にバイク業界に身を置いていた。アパレル好きであったため、有名なドメスティックブランドに転職、その後二輪アパレルの営業や商品企画に携わる。
「自分がバイクに乗るときは、好きな服を着る」
そんなコンセプトで新しいブランドNOISECOATを立ち上げた。学生時代から、ジャンルにとらわれず色んなバイクに乗っていたという志村さんは、自分でカスタムしながらストリートやサーキットで遊んでいた。
「原点に『好きなバイクや車にお気に入りの洋服で乗ってる時が、何にも縛られずに1番楽しかったな』という思いがありました。昨今のバイクや車の世界は、醍醐味の一つだったカスタムまでが制限され、楽しさが半減しているような気がします。モーターカルチャーは、もっと自由度があっていいのかな?と…」
二輪業界に身を置き、サーキット走行も経験してきた志村さんは一般的なライディングジャケットやプロテクターの重要性は理解している。しかし、そこに縛られてしまうと、アパレルとしての自由度が失われてしまう。NOISECOATの商品は至ってシンプル。HPではイメージを牽引するような特定のジャンルのバイクもない。志村さんの感性と培ってきたものが、デザインに落とし込まれている。
「長く愛用できるようにシンプルなデザインの中に、少しクセを入れています。それがアクセントになり、ユーザーが好きな洋服やアクセサリーと合わせて完成するイメージです」
メイン商品はChopperやHotrodなどのCustomシーンからインスパイアされたアパレルやモーターサイクルグッズ。しかしターゲットはハーレーユーザーに限定していない。
「バイクや車の種類、年齢、性別に関係なくモーターカルチャーやファッションが好きで、NOISECOATのこだわりに共感していただける方に、手にとっていただけたら嬉しいです」
明確な理由のない「こうあるべき」をメーカーも二輪業界も見直すべき時が来ている。モーターサイクルショーも盛況であった。しかしバイクの売り上げは伸びてはいない。今年は大丈夫でも、来年は、10年後は? このまま「アーカイブ」のループでは未来が見えてこない。残念ながら新コンセプトのヒットモデルが誕生する可能性は今のところゼロに等しい。
バイクが先か、それともファッション(アパレル)が先か、本当はどちらでもいいのかもしれない。新しい世代に我々は何をモーターサイクルカルチャーとして発信するべきなのか。
NOISE COAT のオフィシャルWEBサイト ChopperやHotrod、Kustomシーンのモーターカルチャーやストリートカルチャーからインスパイアされたアパレルやモーターサイクルグッズを展開しています。
NOISECOAT WEB STORE
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