販売店取材埼玉県

【販売店取材】はとや EC事業部 椚敏一 部長兼取締役(埼玉県)

公開日: 2021/05/28

更新日: 2022/09/21

21世紀初頭からEC事業の必要性に着眼し車両やパーツ、用品販売の商圏を全国へと拡大してきたはとや。創業は1915年の老舗販売店で現在、埼玉県内に7拠点を展開する。経営コンセプトは「バイクのある生活を手軽に!豊かに!」。これを推進するための大きな原動力がEC事業であり、その重要性は年々高まっている。

"バイクのある生活を手軽に!豊かに!"をコンセプトに掲げる「はとや」

<center>可愛らしさや女性らしさにこだわったアイテムを揃えている「Baico」</center>
可愛らしさや女性らしさにこだわったアイテムを揃えている「Baico」

"バイクのある生活を手軽に!豊かに!"をコンセプトに埼玉県内に7店舗を展開する、1915年創業の老舗二輪販売店「はとや」(石鍋卓社長)。同店の特徴は、WEB関連の業務に特化した「EC事業部」を社内に設置しているところにある。セクション名から業務内容の想像はつくが、二輪販売店でこうした専門部署を設置することは、珍しいケースといえる。では、具体的にどのような業務を行っているのだろうか。今回はEC事業に焦点を当てて紹介する。

はとやのEC事業の歴史は、2003年に佐藤輝義前会長がインターネットの普及を受け、商圏の拡大や仕事の効率化を目的に、部門の新設を発案したことに端を発する。これについて、EC事業部部長兼取締役の椚敏一さんは、次のように説明する。

「当時から、ホームページは運営していました。けれども、今後はさらにWEBでの情報発信が必要になると考え、オンラインの販売チャネルを拡充するため、EC事業に資金と時間と人材を投資するようにしたのです」

多岐にわたるEC事業を通じて拡販に努める

<center>バリエーション豊かなフランスの「ASTONE」ヘルメット</center>
バリエーション豊かなフランスの「ASTONE」ヘルメット

はとやのEC事業は多岐にわたる。WEBサイト運営の他、自社・海外ブランド製品の管理、ポスターやチラシ、POP、のぼりなどの販促ツール制作も行い、拡販に努めている。それぞれの業務について見ていこう。

まず、WEBサイトについてだが、自社のホームページの他、レディースバイク用品店「Baico」の運営や楽天、アマゾン、ヤフーショッピング、auPAY マーケット(au Wowma!)への出店を行っている。これらのインターネットショッピングモールでは、車両やパーツ、用品を販売している。「スタッフおすすめバイク特集」や「レインウェア特集」などの特設ページを制作し、店舗では扱いきれない部分をサポート。さらに、ツイッターやインスタグラムといったSNSを販促ツールとして活用し、入荷車両やイベント情報などを積極的に発信することで、ネット通販の売り上げ増加に貢献している。

受注パーツや用品の発送については、自社倉庫である「さいたまFC(フルフィルメントセンター)」で行っている。これについて椚さんは、次のように述べる。

「受注から発送までのフローを自社で完結することで、配送日数を短くするだけでなく、万が一のトラブルにも迅速に対応可能な体制を整えています。また、はとやではパーツや用品を合わせ常時数万点をストックしているため、自社倉庫を持つことで保管料を抑えられるのです」

<center>「SCOYCO」のカジュアルライディングシューズは業界全体で動きが出ている大人気製品</center>
「SCOYCO」のカジュアルライディングシューズは業界全体で動きが出ている大人気製品

続いて、自社製品とアパレルを中心とした海外ブランド製品の管理について。はとやでは、「Void(ボイド)」「WIDE SOURCE(ワイドソース)」「SUM WITH(サムウィズ)」の3つの自社開発ブランドを展開。大手メーカーのヘルメット1個分の値段で、ヘルメットやジャケット、パンツ、グローブ、ブーツなどをひと通り揃えることができるという、リーズナブルな価格が魅力となっている。

さらに、国内総輸入代理ブランドとして「SCOYCO(スコイコ)」と「ASTONE(アストン)」を展開。特に、スコイコの、カジュアルな見た目が特徴のライディングシューズは大人気製品となっており、導入している大手用品店からは「予想以上に売れている」との反響があり、現在も取扱店が増加中だという。同製品は石鍋社長の、業界の古い慣習や常識にとらわれず、いままで日本になかったアイテムを提供したい、との考えから、海外の展示会で調達してきたモノ。このような海外ブランドの取扱いも業務の一つとなっている。はとやには、車両の輸出入を主な業務とする海外事業部があるため、海外との取引きも容易となっているのだ。

自社ブランドや海外ブランドを扱う理由について椚さんは、「競合他社が多く、薄利多売が常態化している現在、価格競争に陥らない製品を独自で確保するため、はとやだけが入手できる商材を扱い、それを拡大していきたいというのが発端です」と説明する。

このように自社ブランドを扱うことで、価格面で優位に立てるだけでなく、ユーザーのニーズに沿った製品展開が可能となる。そして、海外ブランドを扱うことで、目新しいアイテムを販売できるのだ。これらは、同店の大きな強みとなっている。

各店舗のニーズに合わせた情報を提供

<center>はとや草加店</center>
はとや草加店

はとやではWEBデザインや販促ツール制作なども行っていることは前述したが、二輪販売店の中にデザイン専任のスタッフがいることは非常に珍しい。これは、はとやの大きな特長であると椚さんは言う。

「各店舗によって地域性が異なるため、店長の要望を聞きながらポスターやチラシ、POP、のぼりなどの販促ツールを制作しています。社内にデザイナーがいることで、細かなニーズに合わせた情報を提供できるのです」

はとやの存在は埼玉県のバイクショップとしてだけではなく、日本全国に車両やパーツ、用品を販売する二輪販売店として知られている。WEBを活用しながら認知度を上げ、多くの情報を発信することで、ユーザーに安心感を与え続けてきた。EC事業に力を入れる最大の理由について、椚さんはこう述べる。

「私たちはバイクのある生活を手軽に楽しむことができ、また豊かにするような製品の提供や情報の発信を通じて、乗る環境も含めたトータルサポートを行いたいと考えています。それを実現するためのツールがECなのです」

豊富な製品ラインアップや情報発信力に加え、接客やコミュニケーション能力に長けたスタッフがいることも、はとやの強み。これらが組み合わさった総合力の高さは、創業100年以上という歴史が証明している。



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