公開日: 2021/05/31
更新日: 2022/09/06
日本自動車工業会(豊田章男会長)は4月22日、記者会見を開催した。会見のなかで豊田会長は全産業および国民の喫緊の課題である「カーボンニュートラル」に関する考え方、取り組みについて説明。また、「東京モーターショー2021」の開催中止を発表。その決定に至ったプロセスについても説明した。
豊田会長は、すでに自工会としてカーボンニュートラルに取り組んでいくことを表明しているが、日本には、優れた環境技術、省エネ技術が数多くある。その観点からも、日本らしいカーボンニュートラル実現の道筋があると考える。個々の優れた技術を組み合わせた「複合技術」こそが日本独自の強みである、との考えを表明した。
また現在、エネルギー業界では水素による「e‐fuel」やバイオ燃料など、「カーボンニュートラル燃料」という技術革新に取り組んでいるが、日本の自動車産業がもつ高効率エンジンとモーターの複合技術に、新しい燃料を組み合わせることで大幅なCO2低減という新しい世界が見える。これにより、すべてのクルマで、CO2削減を図れるようになる、と説明。輸送のカーボンニュートラル化が進めば、輸出入に支えられている日本のビジネスモデルのグリーン化にもつながるというメリットを強調した。
目指す方向については、「ゴールはカーボンニュートラル。『つくる』『運ぶ』『使う』『廃棄する』のプロセスにおいてCO2削減を実現しなければならない。そこには‟ペースメーカー”が必要。自動車産業がそれを担う」とした。
また、先に行われた日米首脳会談での菅総理による、「2030 年というマイルストーンを置いて、カーボンニュートラルに向けた取り組みを加速する」という発言に触れ、「日本がやるべきことは技術の選択肢を増やしていくことであり、規制・法制化はその次。最初からガソリン車やディーゼル車を禁止する政策は、選択肢を狭め日本の強みを失うことにもなる。政策決定の順番が逆にならないようにして頂きたい」と語った。
豊田会長は今回の定例会見のなかで、「東京モーターショー2021」について、開催中止を決めたことを発表した。
「オンラインでのより魅力ある企画を検討してきたが、多くの方が安全・安心な環境で、モビリティの魅力を体感できるメインプログラムの提供は難しいと判断し、開催中止を決定した」と理由を説明した。また、次回はさらに進化した「東京モビリティショー」となることを合わせて発表した。
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