公開日: 2022/10/05
更新日: 2022/10/05
ホンダは9月13日、東京青山のHondaホールで「二輪事業説明会」を開催。2030年までに電動車の世界販売構成比率を15%350万台にまで引き上げ、2040年代には温室効果ガス排出量ゼロとするカーボンニュートラル実現に向け、進んでいくことを発表した。
出席者は竹内弘平取締役代表執行役副社長、野村欣滋常務執行役員の2名。冒頭、竹内副社長は、「カーボンニュートラル化は、エンジンをパワーユニットに置き換えるだけの単純なものではない。多面的・多元的なアプローチが必要であり、全固体電池をはじめとするバッテリーの進化、交換式バッテリーの展開、カーボンニュートラルフューエルの活用、モビリティサービスによる移動効率向上など、多彩なソリューションで2050年のカーボンニュートラルを目指す」と述べた。
続いて、野村専務が具体的な内容について説明。ICE進化への取り組みについては、ユーザーニーズを満たしながらカーボンニュートラルを実現するため、ICEの燃費改善への着手と同時に、ガソリンにエタノールなどを混合したカーボンニュートラル燃料に対応したモデル開発にも取り組む、と表明した。
その一方で、電動化においては幅広いニーズに応えられる電動車を投入する。ICEの燃費改善等に取り組むことでCO2削減を進めるが、あくまでもカーボンニュートラル実現の中心は電動化であることを明言した。市場への投入計画については、コミューターとFUNモデルを合わせ、2025年までに合計10モデル以上のグローバル電動車を投入する。これに基づき2026年までに100万台、2030年には、販売構成比の約15%にあたる年間350万台レベルのグローバル電動車販売を目指す。
電動化対応における最大のポイントの一つであるバッテリーについては、四輪用に開発中の全固体電池が一つの選択肢。これを二輪にも導入することを目指している。また、ICE搭載車における高効率なプラットフォームと、グローバルサプライチェーンの構築により競争力を培ってきたが、こうした強みを電動車にも生かす。具体的にはバッテリー、PCU、モーターの3部品とそれを搭載する車体で構成する「電動車プラットフォーム」の開発だ。
ソフトウェア領域では、一部のICEの大型車に搭載してきたコネクテッドサービス「HondaRoadSync」を展開しているが、この領域の新価値創造を強化する。充電インフラについては、今年4月にENEOSと国内4メーカーで株式会社Gachacoを設立。この秋には、二輪車向けバッテリーシェアリングサービス事業開始を予定している。
ホンダでは、高効率なプラットフォームと、グローバルのサプライチェーンの構築で「ものづくり」の進化を合わせて継続。営業利益率7%以上に向け、さらなる高収益体質を維持する、としている。
―――ホンダの二輪の収益性は高い。EVで勝てるのか。
ホンダの二輪の強みは、固定費を圧縮しながら、量で稼ぎ収益を出せるところ。:少資源でのモノ作りの技術を、電動二輪にどう生かすかがポイント。収益性は確保できる。
―――コネクテッドサービスの具体的内容は何か。ユーザーの利便性はどう変わるのか。
車両側にコネクトするための機能を持たせる。航続距離等の不安を解消するためのアプリを搭載し、加えてホンダの電動車を使うことに対し、元々ある販売網やサービス網をいかに有効に使えるか、という機能を持たせる。
―――代替燃料によるICEは、二輪車の構造からすると親和性が高い。どのような燃料が考えられるのか。
バイオマスフューエルやe-フューエルが考えられる。各国の政府が準備しようとしているフューエルに対し、適合するクルマ、バイクを開発するというスタンス。燃料の独自開発はない。
―――「FUNEV」(大型FUNEV3モデル)は3つのカテゴリーでリリースされるのか。
カテゴリーとしては、この区分。ただし、細部は変更となる可能性はある。
―――ホンダの二輪のストロングポイントはエンジンの耐久性と信頼性だが、電動化でそれを失う。そこをどう考えているのか。
ホンダはエンジン製造だけではなく完成車づくり全体のノウハウがある。パワーユニットでも、エンジン製造における加工や熱処理などの技術を利用できる部品は残る。トータルでいまの信頼性、耐久性は確保できるだろう。信頼性の原点は、ホンダの販売網の強さとそれぞれが備えている高いサービス力。そこは高収益を誇る一部でもある。
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