公開日: 2022/11/03
更新日: 2022/11/03
神奈川県にあるツーリングスポット『アネスト岩田ターンパイク箱根( 以下、箱根ターンパイク)』。二輪・四輪業界関係者はもちろんのこと、ツーリングやドライブを趣味とする人なら、耳にしたことがあるのではないだろうか。関東在住のライダーなら、実際に走ったことのある人も少なくないだろう。
9月11日、その箱根ターンパイクを往復するバイクのグループがあった。「有名なツーリングスポットなのだから、バイクが走っているのは不思議でも何でもない。当たり前のこと」と思うかもしれない。しかし、実は当たり前のことではなかった。その日、箱根ターンパイクを走っていたのは、世界初のイベントの参加者だったのだ。
者が一緒になって、公道を走るというツーリングイベントだったのだ。主催したのは『一般社団法人SSP(SideStandProject=サイドスタンドプロジェクト)』。参加したのはパラモトライダー14名と、そのツーリング仲間76名、付き添い10名。パラモトライダー1名とその友人が1グループになり、1グループずつ走行し、14グループが箱根ターンパイクの往復約26㎞のツーリングを楽しんだ。
パラモトライダーは特別な装具を足などにつけ、体を固定。小田原料金所がスタートとゴールになっており、バイクの乗降や発進停止はSSPスタッフやボランティアスタッフがサポート。当日集まったSSPやボランティアのスタッフは約150名にも及んだ。
スタッフの多さもさることながら、当日は箱根ターンパイクを借り切って一般のライダーやドライバーを遮断するなど、大掛かりなイベントとなるため、クラウドファンディングの『CAMPFIRE(キャンプファイヤー)』で広く一般からの支援を募集。124人の支援者から支援目標金額の200万円を超える、237万円が集まった。
実に、多くの人のサポートがあって開催することができた『やるぜ!!箱根ターンパイク2022』。パラモトライダーは走り終えたあと、スタッフとハイタッチする人、満面の笑顔で「バイク最高!ありがとう!」とスタッフに感謝を伝える人など、全員が全員、バイクで走れた喜びを噛み締めていた。また、パラモトライダーだけではなく、一緒に走行した友人たちも楽しそうにしていたのも、非常に印象的だ。この参加者たちの笑顔こそが、このイベントをやる意義であり意味なのだ。
さて、読みながら「SSP?」「パラモトライダー?」と思っている読者もいるだろう。
SSPは、事故や病気など様々な理由によって障がいを持つ人たちの「オートバイに乗る」という『夢』のサポートを目的とした非営利団体。これまでにサーキットなどクローズドな場所で『パラモトライダー体験走行会』を開催してきており、その活動に参加したことのある障がいを持つライダーの呼び名がパラモトライダーである。
SSPの設立は2019年9月。立ち上げの中心となったのは、青木宣篤さんと青木治親さん。二輪業界関係者なら年齢を問わず、一度は名前を聞いたことがあるであろう、群馬県の青木3兄弟の長男と三男だ。次男の青木琢磨さんとともに世界GPで活躍するなど、世界の舞台で戦っていた3人だが、1998年に琢磨さんがテスト中の事故で車椅子生活を余儀なくされた。
もう一度、琢磨さんをバイクに乗せたいという思いから、『TakumaRides Again』プロジェクトがスタートし、2019年には青木3兄弟が鈴鹿サーキットを走行。その日、SSP発足が発表された。
今回の『やるぜ!!箱根ターンパイク2022』もそうだが、イベントには多くの人と費用が必要になるため、SSPでは常時、サポーターを募集している。企業サポーター向けには年間費用30万円からの2プラン、個人サポーター向けには月額1000円からの3プランが用意されている。SSPの活動に興味がある人、もっと詳しく活動について知りたい人、サポーターとしてSSPやパラモトライダーの応援をしたい人は、SSPのwebサイトをチェック。
一般社団法人SSP(SideStandProject=サイドスタンドプロジェクト)
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