公開日: 2023/01/18
更新日: 2023/01/18
今回はその優れた性能に気付いた一部ショップや耳の早いユーザーから支持される、アッシュオイルの4st用エンジンオイルに注目します。一体、アッシュオイルの製品にはどんな特長があるのか気になりますよね。
最大の特長は粘度低下率が限りなく0%に近いということ。一般的な製品は良いもので7%、悪いもので15%程度とされ、入れた瞬間に粘度が落ちてしまうそうです。では粘度が低下するとどうなるのか。バイクの場合にはシフトフィーリングが悪くなると言います。夏場のツーリングなどで「タレてきた」と感じることがあると思いますが、そういう症例はギアチェンジの渋さやクラッチのキレの悪化であり、それを解消するための特効薬と成り得るのが“粘度低下ゼロ”というレーシングオイルの要素を取り入れることだと結論。それを実現するために設計され、製品化されているのがアッシュオイルの4st用エンジンオイルというワケなんです。
では、どうして良いものであっても7%という粘度低下率を、限りなくゼロに近づけられたのか。それは代表を務める岸野さんが、四輪レーシングシーンで世界的にも有名なTRUSTでオイル開発を担当していた経験が活かされているのだとか。例えば過酷なル・マン24時間でのデータもその一つ。とてもシビアな環境下でも、最後まで高性能さを保ったオイルがTRUSTの活躍を支えていたのは間違いありません。そのオイルを設計したのが岸野さんなのです。
その岸野さんは「最後までタレることのないオイルであれば、気持ち良く乗り続けられる」というポリシーのもと、市販車両にもレーシングオイルを使ってもらうべきとしてアッシュオイルを展開。そうなんです。アッシュオイルが高性能であるのは、レースユースを前提に設計されているからこそだったりします。それこそ最上位モデルである100%エステル化学合成油はワークスレベルに対応しているのです。
実はオイルの硬さ……特に5Wや10Wといったウインターグレードの規格に適合させるためには、増粘剤であるポリマーを使うのが簡単な方法とされています。しかしポリマーを使うと粘度低下が起きるので、アッシュオイルは「ノーポリマー」をコンセプトに作られています。
「ノーポリマー」であるからこそ、粘度低下率を限りなくゼロに近づけられたワケなのです。ちなみにそれによって「入れてから抜くまで、シフトフィーリングなどがほとんど変わらない」という効果を体感できるそうです。そう、それこそがアッシュオイルの狙う特徴であり、その効果の有用性を見抜いたり気付いたりしたショップやユーザーがアッシュオイルを支持しているということなんです。
エンジンオイルを設計する際にライフサイクルという視点で考えると、清浄性と酸化安定性も重要なファクターとなります。ただし清浄性を上げれば潤滑性の足を引っ張るためバランスさせるのが非常に難しく、ベースオイルの組み立てと添加剤のバランスも必要に。
ちなみにベースオイルには極性基(電気的にくっ付こうとする部分)を持っているものと、全く持っていないものがあります。例えばエステル化学合成油はくっ付こうとするエネルギー多くを持っていますが、PAO(ポリアルファオレフィン)にはほとんどなく、VHVI(Very High Viscosity Index)もほとんどありません。それと酸化防止剤のジンクもくっ付こうとする特性があるものの、エステルの極性基とのバランスが崩れると逆に潤滑性が悪くなってしまいます。
また、アルカリ性のカルシウムスルホネートとかマグネシウムスルホネートというものが清浄剤になりますが、その洗い流す力が極端に強すぎても油膜がくっ付こうとするのを邪魔してしまうので、それがまた潤滑性の足を引っ張ってしまうことに。
そのためオイルの設計においてはトータルバランスをどう取っていくかが一番難しく、有用なデータを持っていなければ途方もない試行錯誤を繰り返さないと目指すオイルが完成しないワケです。
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