公開日: 2023/04/25
更新日: 2023/05/05
3月24日(金)から26日(日)の3日間、東京都江東区の東京ビッグサイトで『第50回東京モーターサイクルショー』が開催された。バイクシーズンの訪れを告げるイベントには過去最多となる166者が出展し、会期を通して雨が多かったにも関わらず、3日間で13万9100人が来場した。
春を感じさせるイベントといえば一般的には花見が挙げられるだろうが、二輪業界ではモーターサイクルショーが開催されると、そろそろ本格的なバイクシーズンが始まるというイメージを抱くのではないだろうか。
コロナ禍によって、2020年、2021年と2年連続して中止となったが、昨年、3年ぶりに大阪と東京で開催され、さらには愛知県においても『第1回名古屋モーターサイクルショー』を開催。今年も、3月17日(金)から19日(日)までインテックス大阪で『第39回大阪モーターサイクルショー2023(OMCS)』、3月24日(金)から26日(日)まで東京ビッグサイトで『第50回東京モーターサイクルショー(TMCS)』、4月7日(金)から9日(日)まで愛知国際展示場で『第2回名古屋モーターサイクルショー(NMCS)』がそれぞれ開催された。
取材に向かったのは、TMCS初日の3月24日。会期の中では天気が良かったほうだが、それでも午後4時あたりには雨が降り、残りの2日間も雨模様で天気には恵まれない開催となった。そのような中でも、3日間で会場に足を運んだ人数は24日が3万5260人(前回比16.4%増)、25日が5万6052人(同10.0%増)、26日が4万7788人(同13.3%増)とすべての日で前年を上回り、合計13万9100人が来場した。昨年はまだまだコロナ禍の影響が色濃く、入場者数は12万3439人と少なめだった。今回は前回実績を上回ったが、コロナ禍前の2019年の開催時が14万9524人だったので、それには1万人ほど及ばなかった。
会期中、唯一の平日である24日は、午前中が特別公開で午後から一般公開。午前中は、スーツを着た人が多く見受けられたが、午後になり一般の人が入場してくると、様子は一変。来場者の年齢層としては、まだまだ中高年層が多いものの、若年層が確実に増えていることを実感できた。また、ツイッターやユーチューブなどのSNSでは、女性モトブロガーやバイク女子がコロナ禍以降に増えている印象だが、その影響なのか、女性の割合も以前に比べて増加した感がある。「モーターサイクルショーを訪れた」とSNSで発信する投稿や動画を見る機会が数年前に比べて格段に増えており、その投稿や動画の投稿者を見ると、20代から30代の女性が少なくない。
試しに、ツイッターで『モーターサイクルショー』や『モタサイ』というキーワードで検索すると、かなりの数のバイク女子による投稿がヒットする。そして、それらの中には、自分が撮影した動画をアップしたユーチューブのURLが貼られたものも多数ある。実際、TMCSでは何人ものモトブロガーやバイク女子を見かけたほか、NMCSでは東海エリアのバイク系ユーチューバーの『合同オフ会』も開催された。
今回のTMCSは過去最多となる166者が出展。大きな話題を振りまいたモデルがいくつもある。その中のひとつが、カワサキの『エリミネーター』『エリミネーターSE』。OMCSで世界初公開された400ccモデル。シート高はわずか735mmながら、そこからさらに20mm 下げるローシートがアクセサリーとして用意され、小柄な人でも安心の足つき性だ。カワサキのブースでも人気が高く、女性が次から次へとまたがる様子が見られた。小誌が発行される少し前の4月25日に発売開始。カワサキブースでは、参考出品だが『NinjaZX-4RR』の注目度も高かった。400ccの4気筒スーパースポーツモデルで、海外仕様では最高出力80PSを発揮しているハイパーマシン。現時点では、発売時期は未定となっている。
ヤマハのブースで、注目度が高かったと感じたモデルの一つは、『XSR900』。6月に発売予定の外装セットをまとい、往年のレースマシンを彷彿とさせるスタイルで、圧倒的に男性からの熱い視線を浴びていた。性別年齢問わず、XSR900と同じくらい人が集まっていたのが市販予定車の『XSR125』『MT-125』『YZF-R125』。125ccの3車種で、今年中に発売される予定だ。原付二種ではホンダ『CT125』が女性からの人気が高いが、それとは違った路線で、女性だけではなく男性からも支持を得そうな3モデルだ。
ホンダは平日にも関わらず、ブースに入場するのに60分待ち(24日14時現在)の人気ぶり。ユニークだったのがメリーゴーラウンド。遊園地などのメリーゴーラウンドは馬にまたがるが、ホンダのそれは馬の代わりにバイクが置いてあり、バイクにまたがって周回するという今までにないアトラクション。乗っていると注目を浴びるので、「恥ずかしい」と顔を隠す人もいたが、メリーゴーラウンド前には列ができていた。過去に例のない企画であるだけに、展示車とダブルで楽しむ姿が伺えた。展示車両では、いずれも5月発売予定の『CL250』『CL500』『XL750トランザルプ』の人気が高かった。見ていた範囲では、CL250とCL500は車体サイズが共通ながらも、CL500よりもCL250のほうが女性人気は高かったように感じた。
スズキブースでは、『VストロームSX』あたりの注目度が高いのかと思っていたのだが、実際、ブースに行ってみると、多くの人が食い入るように見ていたのは『GSX-8S』。「写真で見るよりも現車のほうがはるかにカッコいい」という来場者の声も多く聞かれた。注目していたのはほとんどが男性だ。その他にも、各種イベントに展示されるたびに、「人気がある」と感じるのは『ハヤブサ』と『カタナ』。今回のTMCSでも展示されており、男性人気が高いように見えたが、女性がまたがる姿も見受けられた。
国内4メーカーの様子は、ザッと以上のような雰囲気だ。今回、13万9100人と14万人近くが会場を訪れたが、天気が良ければ、コロナ禍前と同じぐらい、あるいはそれを超えるほどの入場者数になっていたかもしれない。それくらいのイキオイが感じられたTMCSだった。
【株式会社ホンダモーターサイクルジャパン】
室岡 克博 代表取締役社長
~今回の東京モーターサイクルショーのテーマは体験型のテーマパーク「ホンダゴーバイクランド」~
今年のホンダブースは『ホンダゴーバイクランド』をテーマに、お客様の多様なライフスタイルに応じたホンダの幅広いラインアップを、様々な展示で見て、触って、またがって、そして感じていただくという、体験型のテーマパークを目指しました。このステージは、各モデルに乗車した状態で全体がメリーゴーラウンドのように回ることで、ライディングのワクワク感を体感していただくことができます。また、ご自身のライディングポジションを鏡で見ることができるコーナー、ホンダ純正のアクセサリーのグリップヒーターなどの効果が体感できるコーナーも設けました。さらにはお子様向けに『CRF50』でライディングを楽しんでいただくアトラクションを用意するなど、ホンダの楽しさを訴求するブース構成となっています。各カテゴリーの世界観に合わせたホンダライディングギアのコーディネート展示もご覧いただくことで、ホンダがもたらす豊かなバイクライフをトータルで楽しんでいただけるよう、工夫を凝らしています。
【BMW MOTORRAD】
佐伯 要 ジェネラル・マネージャー
~全く違うバリエーションをひとつのブランドの中で展開。ラインアップの広さがBMWモトラッドの強み~
今年、BMWモトラッドは創業100年を迎えます。排気量494cc・出力8.5馬力・最高時速95kmの『R32』が我々の礎となったバイクで、原点。1923年当時から、バイクを愛する者が、同様にバイクを愛する皆さんのためにオートバイをデザインし、製造してきました。そして、昨年、BMWモトラッドは歴史上初めて20万台の販売台数を突破。前年比で4.4%増、コロナ以前の2019年との比較でも、15.8%の増加です。これにより、BMWモトラッドは世界のプレミアムモーターサイクル市場で販売台数ナンバーワンの座を獲得しました。我々のフラッグシップモデルは『R1250GS』および『R1250GSアドベンチャー』。また、昨年導入した電動スクーター『CE04』も初年度から全世界で約5000台を販売。スーパースポーツのセグメントで非常に強い存在感を示している『S1000RR』。大型クルーザーの『R18』。全く違うバリエーションがひとつのブランドの中で展開できている。こういったラインアップの広さがBMWモトラッドの強さだろうと思っています。今回、我々BMWグループにおいてモータースポーツの象徴である『M』を頭に模します『M1000RR』の新型モデルが登場。より高い満足度を提供できると確信しています。
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