公開日: 2023/05/23
更新日: 2024/08/22
インド市場において、発売開始から6ヵ月で10万台以上販売された人気車両!ロイヤルエンフィールド新モデル「HUNTER350」にバイクジャーナリストの小林ゆきさんが跨り、都心の街で試乗インプレを行いました。
今回の試乗コースは東京のど真ん中。後ろには皇居、左側は日比谷公園というアーバンライドな場所で走行しおります。
単気筒で、デザイン的には1950年代のちょっと懐かしい雰囲気そのままのモデル。丸いヘッドライト、丸みを帯びたタンク、そしてむき出しのエンジンと2本ショック、というオートバイらしいデザインとなっています。350ccなので普通二輪免許で乗れ、街乗りで気軽に乗れるタイプのバイクです。
シート高は790mmですが、足つきが非常によくできており、タンクとシートの間のえぐれが太ももにフィットするような形になっています。体感値は、750~60mmぐらいな感じ。
車重は181kgですが、スペック以上に軽く感じます。色々なバイクを乗った経験からいうと、140kgぐらいのイメージ。信号待ちや止まった時、重いバイクだと少しでもグラグラしたら足に重さを感じたり、ハンドルにだいぶ力を入れないと戻らなかったりしますが、そんなことは一切なく、めちゃくちゃ軽いです。
ハンドリングも軽やかで、低速で大きく曲がる際に軽々と進行方向に向かっていくイメージです。ハンドルをちょっと切った状態で信号待ちをしておりますが、足つきやハンドルの位置関係もなかなかいいと思います。バランスよく、軽くて、結構バンクできちゃいます。峠とかでスポーツライドしてもなかなか楽しそう!
さて、エンジンをかけた瞬間に結構びっくりしたのは、スペック的にロングストロークのエンジンになっていること。そして、最高出力約20馬力、4000回転で最高トルクを発揮する設定になっているので、低い回転数域でトルクを発揮します。
非常に軽やかにエンジンが回る印象で、滑らかにスピードが乗っていきます。2速ぐらいでも普通に走れそうなトルク感。エンジンは5速になっており、3速ぐらいは結構ワイドな設定で使い勝手が良いということで、街中でのライディングもストレスなく走りを支えてくれる感じがします。
注目すべきはハンドルとシートとステップの位置関係。まるで椅子に腰掛けているような、本当にリラックスできるライディングポジションになっています。ハンドルも高すぎず、低すぎず、やや手前に引けているので、私のような手足短めでも全くストレスを感じることはございません!
インドのバイクですし、大柄な方や二人乗りを想定して作られているので、サスペンションが硬いのかなと想像しておりましたが、前後で結構動きます。単気筒ってトルクで乗るような乗り物なので、サスペンションの設定が動きすぎたり、硬すぎると疲れに通じますが、先ほどからとても快適に運転できているということは、ピッチングモーションまでサスペンションでカバーされている風に感じます。
ロイヤルエンフィールドの歴史を紐解くと、現在はインドにありますが、元々はイギリスで興った会社で、1901年に遡ります。当時のバイクをそのままインドで生産し続けていた時期もあります。
実は私は2000年代に入って、1950年代に発売されたロイヤルフィールドに乗っていました。いわゆるディーゼルエンジン、ロビンのエンジンを積んだものや、右シフト右チェンジのものに乗ったイメージがありましたが、今のロイヤルエンフィールドは完全に別物です。
あまり日本では知られていませんが、インドは世界の一大オートバイ開発&生産国。世界中の頭脳がインドによって賄われている現状もあります。優秀なエンジニアがとても多い界隈なので、世界に向けていいものを作ろうという土壌があります。
それを踏まえてびっくりしたのは、マイルドなアイドリングかつ、走りだすと必要十分な力強さを発揮するエンジン。シフトのフィーリングもとてもいいのです。車両全体の構成も、フレームそのものもそうだし、ライダーのライディングポジションもすごくよく考えられています。それによって、椅子に座った状態そのものみたいな感じのライディングポジションなので、快適さ、気軽さが生み出されています。横から見ると、何の変哲もないクラシカルなタンクとシート、サイドカバーに見えるかもしれませんが、跨っただけで、内ももに合わせて作られているような雰囲気を感じる、しっかりとした設計になっています。
ロイヤルフィールドという伝統と歴史あるブランドを、しっかり技術で伝えていこうとしていることがよく分かるバイクでした。
【小林ゆきさん略歴】
横浜育ちのバイクブーム世代。バイク雑誌の編集者を経て、現在はフリーランスのライダー&ライター。バイクを社会や文化の側面で語ることを得意としている。愛車は総走行距離25万kmを超えるKawasaki GPz900RやNinja H2など10台。普段から移動はバイクの街乗り派だが、自らレースに参戦したり鈴鹿8耐監督を経験するなど、ロードレースもたしなむ。ライフワークとしてマン島TTレースに1996年から通い続け、モータースポーツ文化をアカデミックな側面からも考察する。
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