公開日: 2024/05/28
更新日: 2024/06/10
今、ユーザーから注目されているツールのひとつが『スマートモニター』。バイクにスマホをマウントすることなく、スマホの機能やアプリを使うことのできる機器だが、日本の電波法に適合した製品以外を日本で使うと電波法違反となるので注意が必要だ。
バイクに装着する様々なパーツや機器の中で、『リアキャリア』『USBポート』『スマホホルダー』がいまどきのバイクにおける『三種の神器』になりつつある。そして、そのひとつであるスマホホルダーに代わり、このところ注目を集めているのがバイク用の『スマートモニター』だ。
これについては小誌4月号で取り上げたが、スマホをバイクにセットしなくても、スマートモニターをバイクにマウントしてワイヤレス接続や有線接続でスマホと連携することにより、ナビゲーション機能、電話、メールなどの各種機能やアプリケーションを使うことができる。ひと言で言ってしまえば、スマホホルダーの抱えていた問題を解消できるツールで、例えば、バイクからの振動でスマホのカメラ機能が故障するなどのトラブルもない。もちろんスマホホルダー自体も問題を抱えたままということではなく、最近は振動を吸収する製品も発売されている。だが、スマートモニターなら、振動の影響や落下などスマホに関するトラブルを心配することはない。
また、ドライブレコーダー機能を備えた製品もあるなど、とても便利なツールなので、注目されることは何も不思議ではない。しかし、日本で使用するには『電波法』をクリアしている必要がある。
この、電波法とは何か。総務省のWEBサイトを見ると、「電波は、テレビや携帯電話、アマチュア無線などさまざまな場面で利用されています。電波法はこの電波の公平かつ能率的な利用を確保するための法律」と書かれている。
この電波法に適合していない製品についての注意ポイントは、販売する側ではなく、使用する側が電波法違反となってしまうところ。つまり、適合していなくても販売は可能なのだ。ただ、それを知らずに購入し、使用した場合は違反行為となる。摘発されれば、1
年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金刑に処される場合もある。
電波法に適合している製品かどうかの目安となるのは『技適マーク』。バイク用インカムを使っている人なら、インカム本体の裏を見れば、付いているのが分かるだろう。この技適マークは、電波法令に定められた基準に適合している無線機であることを証明するもの。「付いていない=違法」ではないが、違法のおそれがある。使途をツーリングに限定しているのであれば、技適マークのあるものを使用するのがいいだろう。
だが、技適マークが付いていても電波法違反になることもある。例を挙げると、スマートモニターで使用される周波数帯のひとつである5.6GHz帯を使う場合は『DFS機能(Dynamic Frequency Selection)』が必要となる。これは電波の干渉がないかを確認する機能のこと。
例えば、タナックスの『スマートライドモニターAIO-5Lite SRS-001』は、製品仕様のWi-Fi規格欄に『W56(DFS機能搭載)』とある。しかし、DFS機能が必要かというと、そうではない。2.4GHz帯を使用するKIJIMAの『スマートディスプレイSD01』にはない。
両製品とも電波法を気にせずに安心して使える製品だが、使用する周波数帯によってDFS機能のあるなしに違いがある。電波法を知らない、あるいはあまり知らない、という人にとっては、非常にややこしいのだ。
ユーザーも販売店のスタッフも、みんながみんな、電波法を熟知しているわけではないだろう。スマートモニターに興味を持つユーザーがいたら、まずは、その製品が使用しても問題がないかを仕様で確認。もし、仕様を見ても分からない時は、メーカーに問い合わせるか、総務省の『電波利用ホームページ』にある『技術基準適合証明等を受けた機器の検索』で製品をチェック。これも、「ユーザーに安心を提供」することのひとつだ。
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