公開日: 2024/06/25
更新日: 2024/07/02
オートバイ政治連盟(吉田純一会長)は6月5日、「二輪車業界の明日を考える講演会」を開催した。講演者は全国オートバイ協同組合連合会(以下、AJ)の大村直幸会長と、全国二輪車用品連合会(以下、JMCA)の松原弘会長。両氏の講演を聞きに、各単組の理事長をはじめとする業界関係者約30名が集まった。
冒頭、オートバイ政治連盟の吉田純一会長は次のように挨拶した。
「今年は、ETCの二輪車定額割引適用の走行距離が100kmから80kmに変更となった。これは、今年も3年連続100kmではいけないと、2月に斉藤鉄夫国土交通大臣に会い、何とかして欲しいと話をして実現に至った。少しずつだが、二輪業界は前進していると思う」
続いて、講演会がスタート。初めに、JMCAの松原弘会長が壇上に立ち、二輪車用品業界の近況やユーザーの安全意識の変化などについて語った。同氏が強調したのは、コロナ禍を経て、新たにバイクユーザーが増加し、それに伴い、ウェアやツーリング用品を買いに来る人が増えた、ということ。また、今年のモーターサイクルサイクルショーは、車両に跨っている女性ユーザーが多く見られたことについて指摘。彼女らは足つき性をかなり重視しており、厚底のライディングシューズはこれからより一層需要が高まると思う、と私見を述べた。
さらに、ウェアやツーリング用品の動きを見ると、コロナ禍でバイクに乗り始めたライダーの多くは、バイクの知識がほとんどなく、勧めたウェアを一式購入する傾向にあることを明らかにした。
そして、新規ユーザーの特徴について、「安全にはかなり神経を使っている。なので、スピードを出そうという気は一切ない。そのため、プロテクターに関しても、胸部にも必要と伝えると必ず購入してくれる。安全に関する意識は昔と全く異なる」と語った。
また、ヨーロッパ規格のレベル1と2をクリアした商品に、JMCAの推奨ステッカーを配布する「胸部プロテクター推奨制度」について、次のように述べた。
「推奨ステッカーは毎年4万枚ほど発行しており、JMCAは今年と来年でこの枚数を飛躍的に伸ばすことを目指し、関係省庁とキャンペーンを行っている。私の直営店では、胸部プロテクターを持っていない方には、着用を強く促している。我々が業界をあげて取り組まなければならないのは、死亡事故の撲滅。JMCAは、これからも車両販売店と協力しながら、死亡事故撲滅を最優先に推進していきたい」
続いて、AJの大村直幸会長が、原付一種をめぐる環境について講演を行った。まず、新基準原付の導入は、AJがオートバイ政治連盟と協力し、原付一種の新車生産を2022年11月から2025年11月まで延長したことに端を発していると説明。また、生産期間の延長がなければ、原付一種市場は2022年に終了し、2023年度における出荷台数約9万5000台は0台であった、という事実を強調した。
また、原付の灯火規制が2025年6月に始まることを受け、50㏄の生産が同年5月にストップすることについては、生産継続を訴えた。
さらに、沖縄のバイク通行規制やETC購入助成キャンペーンなどについて、下記のように述べた。
「私はAJの会長になってから8年、毎年のように沖縄を訪れ、沖縄県警と自民・公明党の県連と話をしている。沖縄では、左側一車線しかバイクは走ってはいけない、という特有のルールがある。これは、4年前から毎年少しずつ縮小され、ついに今年の9月30日までに全廃されることが決まった」と現状を説明した。
そして、ETC購入助成キャンペーンについては、公明党の北側一雄副代表の秘書より、7月末から西日本を皮切りに、沖縄も含む全国で展開されると、連絡があったことを説明した。
「いままでAJは高速道路に関する様々な取り組みを行ってきたが、沖縄には恩恵がなかった。沖縄の高速道路料金の特別割引が間もなく終了する中で、ETCの購入助成が始まれば、バイクのETC付帯率も上がるだろうとお願いしたところ実現した。これからも業界一丸となり、二輪業界のために尽力したい」
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