公開日: 2021/07/29
更新日: 2022/09/06
全国オートバイ協同組合連合会は6月30日、衆議院第一議員会館で公明党オートバイ議員懇話会とオートバイ政治連盟の3者で座談会を行った。テーマはETC搭載車の定率割引、沖縄県における二輪車左側通行帯走行規制など。約1時間にわたり活発な議論が行われた。
座談会には、公明党オートバイ議員懇話会からは北側一雄会長と伊藤渉顧問が出席。オートバイ政治連盟からは吉田純一会長が、そして全国オートバイ協同組合連合会からは大村直幸会長が出席した。先月、土日・祝日に高速道路を利用するETC搭載の二輪車を対象に、定率割引を実施するこが確定したが、この大きなトピックを皮切りに議論が進行した。
司会 まずは自己紹介をお願いします。
伊藤 衆議院議員の伊藤渉です。学生時代に限定解除をし、2ストのRGV250ガンマ、GSX400Sカタナ、ZZ‐R1100などに乗ってました。二輪の楽しさを知っている一人として、皆さんの声をしっかり聞いていこうと思います。
北側 党ではオートバイ議員懇話会の会長をしています。私の選挙区は堺市の北部の大阪16区です。吉田会長が私の地元でして、かねてから懇意にして頂いています。2004年から2006年にかけて国土交通大臣を経験しましたが、二輪ユーザーがもっと利用しやすい環境を整備するために課題は多いと思います。改善に向け取り組んで参ります。
大村 今回は、ここまで多くの方に集まって頂く予定はなかったのですが、先生方の生の声を聞きたいという方が多かった。今日はぜひ、色々なご意見を賜りたいと思います。
吉田 2006年、改正道路交通法により二輪の駐車場の取締りが強化されましたが、二輪駐車場に関する法律がなく自工会、4メーカーの渉外部長が国土交通省に陳情に行きました。けれども埒が明きませんでした。その頃、北側先生は国土交通大臣をされていたので、当時の秘書の方に事情を説明したところ、わずか1週間で今の二輪の駐車場法を作って下さったのです。その時からのご縁で、懇話会設立後、ずっと会長をして頂いております。伊藤先生にも様々なアドバイスを頂いており、その結果、数多くの問題が解決に導かれています。二輪業界にとって、かけがえのない先生方です。これからもご指導を宜しくお願いします。
司会 高速道路の定率割引がついに実現します。
北側 高速道路料金には料金区分があり、二輪車は軽自動車と同じ区分です。重量も軽く道路への負担も少ないので、二輪車は別体系であるべき。これを登録車の半分にする、というのが長年のご要請です。自民党のオートバイ議連と我々オートバイ議員懇話会が合同で取り組んでいますが、大きな前進であることは間違いありません。年内には自公で会合を開き細部について詰めた議論をします。ユーザー目線で良い制度を作り上げたいと思います。
司会 100㎞という距離制限についてはどのようにお考えでしょうか。
北側 国土交通省からは、事前に話がありました。東京から100㎞だと箱根を越えてしまうんです。沼津あたりまでなのですが、途中で降りたらダメ。少々使い勝手が悪いのです。これについては国交省に伝えています。ただ、PAの代替えである道の駅については、一旦降りてもいい、という話になっているのいで、これをうまく活用できないか、議論を進めているところです。将来的にはもっと距離を短くしていこうと思います。
司会 北側先生には常々、コミューターとして使用する二輪車は、使いやすくしなければダメだ、とのご指摘を頂いております。二輪の様々な問題解決にあたっては、国だけが音頭を取っても、地方が動かないことには政策は動きません。そうした点において、公明党さんは国会議員、地方議員の連携が非常に良好です。
大村 沖縄では二輪の通行帯は左側車線のみでしたが、公明党さんのおかげでこの3月に一部解除されました。5月にお礼も兼ねて沖縄の公明党さんの県連事務所を訪問したのですが、どの方もこの問題を理解されていました。素晴らしいことだと思います。公明党さんの力を感じましたね。今回の高速道路料金の件もそうですが、道路審議会にも分離化の話が提言されたと伺いました。オートバイの場合、駐輪場問題や高齢化社会におけるコミューターの位置付け、利活用問題など重要案件が多くあります。高速道路問題については20年近くやってきましたが、先生方の力で審議会に話が提言されたことで、多少は分離独立が近づいたのではないかと思います。
司会 吉田会長はどのようにお感じでしょうか。
吉田 キャッシュレス・ポイント還元の時、公明党さんのおかげで二輪車と二輪車関連用品を対象に入れて頂くことができました。車両購入の利用は多くなかったけど、用品購入や車両の修理では多くのユーザーに利用して頂きました。
北側 日本にとって自動車産業は重要な産業であり軽自動車、二輪車は私たちの生活の重要な足です。そのため、登録車とは違う扱いであるべきという考えを一貫して主張しています。駐車場問題もそう。二輪駐車場は都市部では特に少なく、駐車場がないからと路駐すれば駐禁を切られます。つまり駐車違反を緩和するか、駐輪場を増やすか、どちらかしかないのです。今後、都市部においては、一定規模の建物には二輪駐車場の設置を義務付けるよう地方議員と連携し条例で定めたいと思っています。
吉田 平成25年の二輪車の軽自動車税増税にあたっては、北側先生のご尽力により、税率を当初案であった2倍と3倍から1・5倍と2倍に抑えて頂くことができました。施行も軽四輪から1年後の平成28年4月からに延期して頂きました。
大村 平成25年の年末に開催した自公税制協議会では、二輪車の軽自動車税課税だけが最後まで残ったため、日程を1日延長し深夜にようやく決着しました。施行の延長は1年のみでしたけど、代わりに自公の税調会長名で「二輪車ユーザーの負担軽減」の覚書を締結しました。これがETC車載器8万台の助成に繋がったわけです。総額12億円ですからね。
司会 これは、二輪業界にとって本当に助かりました。
大村 オートバイの利活用の問題もあります。電動化の話も多く出ています。これがどうなるのか、関係者の中には不安視する人も多くいます。
吉田 本当に電動化がいいのかという議論もあります。東日本大震災の後、私はオートバイで被災地を回りましたが、電動バイクは一切役に立たなかったのを見ています。駐車場問題もそうです。原付以外を対象とする駐車場法には「二輪車を除く」と記載されており二輪駐車場設置の根拠法がなかったのですが、北側会長が国土交通大臣の時に素早く「街づくり三法」に関連させて駐車場法の「二輪を除く」を削除して頂きました。
伊藤 三密を避けるという観点でオートバイが見直されていますが、同時に脱炭素という流れの中で、内燃機関を持ったオートバイはなくなるのではないかという話が流布しています。だから電動化される前に買っておきたいという流れも加速しています。視点が変わると新しいニーズが出てくる、脱炭素のような大きなトレンドはしばらく続くと思います。でも、短絡的だなと思うのは、電動化により内燃機関がなくなるというニュアンスを与えている点です。これまで日本の産業を支えてきた根本的な技術を失うような方向には、産業政策的にも持っていくべきではないと思います。
北側 脱炭素化の中で、自動車産業というのは裾野の広い分野ですよね、下請けが何重にも重なっており、私の地元にも部品メーカーが数多くあります。この先、我が国の自動車産業をどうするのかは、経済そのものに関わる必至の議論です。そのなかで二輪車の役割や意義などについて議論していかなければなりません。
司会 なぜか二輪は忘れ去られてしまいがちです。そこはぜひ与党として、議論をして頂きたく思います。
北側 沖縄県の二輪車通行規制については、以前は知らなかったのですが、沖縄県議会選挙でAJ沖縄の宜野座理事長に同行して頂いた際に、何回も要望を受けました。その後、警察庁に強く申し上げたがあまり良い返事ではなかった。その後地元の県議会議員の皆さんに話を進めて頂いた経緯があります。
大村 そこが公明党の国会議員と地方議員の連携がなされているところだと思います。公明党のチーム3000の力を実感致しました。そうなると、地元の組合員の皆さんも親近感が沸き、支援する力も大きくなっていくと思います。
司会 本日はありがとうございました。
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