公開日: 2023/10/27
更新日: 2023/10/31
10月25日からスタートしたJAPAN MOBILITY SHOW2023で、カワサキが「W230」「MEGURO S1」をサプライズでワールドプレミア! バイクジャーナリストの小林ゆきさんが両モデルを解説しました。
プレスカンファレンスというメディア向けの発表会で、事前情報に一切出ていなかった“ワールドプレミアサプライズ”が行われました! 今回発表されたのがカワサキ「W230」。そして、もう1台「メグロS1」。この2台がワールドプレミア。メディアにも一切情報が知らされていなかった、カワサキ世界初公開バイクです!
「W」とはもともと目黒製作所が造っていたシリーズで、カワサキがそれを吸収合併し、メグロが出していたWシリーズやSシリーズの技術が、後にZシリーズ、Z1、Z2、そしてNinjaに流れていった歴史があります。今まで「W」というと650や800がありましたが、今回参考出品で発表された車両は230ということで、普通二輪免許で車検もない待望の車両です!
テイスト系のモデルと言えば、カワサキは超ロングセラーで30年近く出していたエストレヤという車両がありました。W230は、そのエストレヤのフレームにかなり近い「セミダブルクレイドルフレーム」。上2本・下2本でエンジンを囲うようなフレームが特徴です。現代においては、面倒くさくてコストが掛かるフレームですが、フレームやエンジンの美しさを表現する、あるいはハンドリングでも十分な強度が出せるということで、このような豪華なフレームを使っています。
もちろんWシリーズなので、キャプトンマフラーという形状であったり、スチールのフェンダーが付いています。また、メッキをかなり多用しているということで、230ccではありますが、かなり高級感漂う仕様になっております!
メグロS1の展示ステージ背景にはメグロ、カワサキの歴史が書かれています。メグロが1924年の発足ということで、来年100周年を迎えます。今回、排気量が書かれていなのですが、W230と比べるとフレームもエンジンも似通ってるなという感じで、私の見立てでは「230cc」のエンジンではないかと思われます。
そして、W230と同じくエンジンもテイスト形の造作になっていて、マフラーもキャプトンタイプ、恐らくフェンダーもスチールだと思われます。色はクロムメッキ、フレームもダブルクレイドフレームが使用されていて、230ccならここまでのフレームじゃなくてもいいんじゃない?と思いますが、やっぱり美しくエンジンを見せるとか、長く乗れるという意味で、高級フレームを使っていると思われます。
W230とちょっと違うのは、タンクですね。シートにかけてのデザインがオリジナルで、メグロのSシリーズに非常にデザインを近づけています。タンクそのものがメッキ加工されており、エンブレムが凄く細かいんですけど、恐らくアルミの削り出しに色を入れているのではないかな。エンブレムだけでも物凄く手の込んだ高価なものが付いています。シートもパイピングが入っていて、手間の掛かっていますね。
ちなみに、230ccって日本人にとっては少し中途半端って思うかもしれませんが、もしかしたらKLX230というバイクがあるので、その辺のエンジンに結構近いのかもしれません。共通部品だと、ある程度信頼性が高まるといった理由があるのではないかな。もちろん、環境性能に対応させる意味が結構あると思います。
エストレヤの歴史から紐解くと、やっぱりエンジンそのものの形が美しいところがカワサキの伝統であり、そしてメグロの伝統を踏襲したモデルとして今後販売されるのでしょうか。どう見ても今すぐナンバーを付けて走り出しそうな状態で目の前にありますので、今後の市販化を期待したいと思います!
【小林ゆきさん略歴】
横浜育ちのバイクブーム世代。バイク雑誌の編集者を経て、現在はフリーランスのライダー&ライター。バイクを社会や文化の側面で語ることを得意としている。愛車は総走行距離25万kmを超えるKawasaki GPz900RやNinja H2など10台。普段から移動はバイクの街乗り派だが、自らレースに参戦したり鈴鹿8耐監督を経験するなど、ロードレースもたしなむ。ライフワークとしてマン島TTレースに1996年から通い続け、モータースポーツ文化をアカデミックな側面からも考察する。
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W230と異なるデザインのタンク
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