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水素をそのまま燃料に!? SUZUKI「水素バーグマン」をご紹介!

公開日: 2023/12/07

更新日: 2023/12/21

今年の10月に開催された「JAPAN MOBILITY SHOW2023」。BDSテクニカルスクールの井田講師が、スズキブースの注目モデル、水素エンジンを使用した「水素バーグマン」、完全電動の「eバーグマン」、そして「e-choinori」を順番にご紹介!

新開発の水素燃料モデル「水素バーグマン」

新開発の水素燃料モデル「水素バーグマン」
新開発の水素燃料モデル「水素バーグマン」

実は以前にも燃料電池という形で「水素から電気」を作るバーグマンを開発していたんですが、今回は「水素をそのまま燃料」として使える車両の開発を進めているとのこと。

色々なカーボンニュートラルを試そうということらしいのですが、以前の燃料電池でも同じく水素を使うので、新しく開発するメリットないんじゃないかな? と思ったら、水素の純度が結局低くて、要はそんなに純度を求められないそうなんです。また、水素を燃料にした場合、基本的なガソリンエンジンをそのまま流用できるので、車体の開発コストがめちゃめちゃ下がるそうです。

課題としては、水素を燃やして走らせているので、燃焼してピストンをした際に水が出てしまうこと。エンジンオイルって水に対してそんなに強くないので、水がエンジンオイルに入っちゃった時にどうしようっていう部分が1つ。あとは、燃え方がガソリンの燃え方と少し違うんです。ガソリンだと「理論空燃比」というガソリンと空気の割合がどれぐらいで燃えますよっていうのが決まっているのですが、この範囲がすごく広いんです。だから、少ない水素で燃やすこともできるし、多い水素でパワーを出すことも可能。

ただ、そうなってくるとガソリンエンジンでも問題になるんですが、NOXという光化学スモッグの問題になる物質がでてしまいます。酸素と窒素って大気中にたくさんありますけれど、エンジンの中の燃焼温度が高いと、それが無理やりくっついてNOXが出てしまうので、そこは考えなくちゃいけない、と言っていました。

けれども、水素エンジンのメリットとしては、燃えた時に基本的にはカーボンが出ないことです。今までだと燃焼室の中に直接ガソリンを吹いて燃やしていましたが、どうしてもカーボンが溜まっちゃって悪さしちゃっていたのが、水素なら起きにくいとのこと。こういったエンジン開発において国内の二輪4メーカーとトヨタさんが一緒に開発するというよりは、色々なところが課題を持ち寄って、それに対してどうアプローチするのか情報を集めて、次の開発に役立ててこういったことをやっているそうです。

トヨタさんは先行でレースをやっているくらい物凄い技術あるということで、そういったものをフィードバックして開発が進んでいます。水素を使ったモビリティーというと、一時燃料電池ってものが行くのかなと思いましたが、二輪に関して言うと、やはりコストを下げられる面で水素燃料がいいかなと感じました!

発売が楽しみな電動バイク「eバーグマン」

発売が楽しみな電動バイク「eバーグマン」
発売が楽しみな電動バイク「eバーグマン」

続いて、完全電動のeバーグマンをご紹介します。バッテリーはホンダさんの共通バッテリーで、ホンダさんがもともと開発していたバッテリーコンソーシアムのガチャコってものを使用しています。車体は今まで走っているガソリンのバーグマンと同じパワーユニットを電動に置き換えているので、ホンダさんの電動に比べると車重が重い分、航続距離が10kmほど低く出ていますが、ブレーキを掛けた時にモーターを発電して充電するという機能があります。使い方によっては航続距離がもうちょっと前後する可能性があるのと、恐らくスペック的にバッテリーを直列に繋ぎ、電圧を高めて電流を効率よく流しているんじゃないかなと思います。

ですがこちらの車両はまだ販売されてません! 今は色んな場所で実証実験をやって情報を吸い上げて、これからの開発に生かしていこうということをやってるんですね。ただし、車体自体は今までのものを流用してますし、バッテリーも規格のものを使っているので、わりかし現実的な車両かなと個人的には思ってます。

いつ出るかはまだはっきりはしていないんですが、完成度の高いものになりますから選択肢の1つとしてアリなんじゃないかなという気はします!

「e-choinori」の値段はお財布に優しい!?

「e-choinori」の値段はお財布に優しい!?
「e-choinori」の値段はお財布に優しい!?

最後に二輪整備士講師の目線で「e-choinori」を見させていただくと、もう車体がまんま「チョイノリ」ですよね。パワーユニットですとか、バッテリーは電動自転車を使っていると思いますので、ありものを組み合わせてうまく形にしたなというのが私の印象です。

車体開発って1から作るのが一番コストかかるんです。その開発コストを売る台数で分散していくと、大体1台あたりの販売価格が出るんですが、今回流用ですから、車体開発コストはほとんどかかっていません。フレームもアルミや特別高いものを使っていない。材料価格が高騰しているとは言え、値段的にはかなり財布に優しい状態で出してくれると思います。

ということでスズキの車両を色々見てきましたけれども、水素や電気、特定小型だったり色々なバイクが出されてますけれども、やっぱりスズキさん上手いですね。元々1200ccとかを作ってたんですが、その技術を時代の変化に合わせてうまく遷移して、なるべくユーザーさんに対して現実的なところで出してくれているんですね。今回紹介した電動や水素燃料バイクが今後いろいろ出てくるので、選択肢が増えるのが非常に楽しみです!

【BDSテクニカルスクール講師 井田安彦】 BDSテクニカルスクール講師
保有資格
2級二輪自動車整備士、2級ガソリン自動車整備士、2級ジーゼル自動車整備士、自動車検査員、二輪車安全運転指導員

★2・3級二輪自動車整備士を目指す方必見!
二輪整備士国家試験、3期連続合格率100%を達成
令和4年度第2回試験では、全国合格者の4人に1人がテクニカルスクール受講生
BDSテクニカルスクールHPhttps://www.bds.co.jp/technicalschool/

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