公開日: 2023/12/28
更新日: 2024/01/09
10月に開催された「JAPAN MOBILITY SHOW2023」のKAWASAKIブースで公開された、カワサキ初のEVバイク「Ninja e1」と、世界初のストロングハイブリッドエンジン搭載「Ninja7Hybrid」をバイクジャーナリストの小林ゆきさんが解説!
なぜブースのメインエリアに新世代の電動・ハイブリッドバイクを持ってきたかというと、20年ぐらい前からずっといろんなメーカーさんが新技術のチャレンジをしていたんですね。特にカワサキは飛行機やガスタービンもあるということで、燃料電池あるいは水素を使ったコンセプトモデルを出してくるのではないかと予想していましたが、今回市販予定・日本導入予定のバイクが発表されたということでとても驚きました。
まずスタイルはというと、完全にモーターサイクルですね。
今まで電動というと、積みやすいとかクラッチがないということでスクータータイプが出てきましたが、あえてモーターサイクルのスタイル。そして、このZX-10Rの流れを組む外観。特に顔つきは10R、25R、4Rだったりのスタイリングを踏襲したものとなっております。どちらのモデルもクラッチがないということで、日本に導入されたらAT限定免許で乗れちゃいますね。
出力は12馬力、キロワットで言うと9KWということで原付二種に相当します。日本なら四輪免許持っていて教習所の予約が取れれば、2日間で卒検までたどり着けちゃいますし、ヨーロッパではいわゆるA1規格といって四輪の免許があれば乗れちゃうというカテゴリーなんだそうです。なので、結構な台数を生産してやる気満々の「Ninja e1」でございます。
でも原付二種だしパワーもそこそこなんじゃないの? って思いますよね。電気バイクはいろいろ乗りましたけどもトルクが全然違います。こちら出力トルクが4.1kgぐらいで、そんなもんかって思うかもしれませんが、何回転で発揮するかというとなんと1600回転! 発進したらいきなりMAXトルクを味わえるのが、電動バイクのすごいところなんですよね。加えて技術者さんに聞いたところ、そこに面白さを加えたということでブーストボタンがあるそうです。ちょっと出力が欲しい時にボタンを押すと、グワッと行くとおっしゃっていました。
そして、充電の規格はというと、二輪の電動バイクは普及を妨げられてきた歴史がありましたが、今回なんと100Vのご家庭のコンセントにさせるというものだそう。発売されるのが楽しみです!
ハイブリッドをいきなり実現化しようというところで、海外での発売が決定しております。レシプロエンジンと電動モーターのハイブリッドとなっているのですが、クラッチが付いてないのでどうやって発進するのか伺ったところ、電気の動力でまず発進して、途中からガソリンエンジンに切り替わっていくということで、極低速でのエンストが起こらない夢のようなバイクがいよいよ実現します。
そして、今回の「Ninja7 Hybrid」はエンジンの排気量が451cc、水冷ストロークの並列2気筒となっています。それにモーターを組み合わせていますが、ハイブリッドとは言えもっと大きくする選択肢もあったでしょうし、逆に250ccぐらいにする選択肢もあったと思います。ですがオートバイに重要な「重心バランス」の兼ね合い、あるいは出力の兼ね合いで、今回451ccがちょうどいいと判断されたのでしょう。重さ的にもちょうど良くて、装備重量が約227kg。ガソリン、バッテリー、そして水冷の水関係やオイルを全部積み込んでの数字なので、乾燥重量でいうと200kgぐらいのバイクだと思われます。
こちらもブーストボタンがあり電気の力を借りながら加速を追加するということで、今まで誰も感じたことのない別世界が待っているバイクだと思います!
以前スーパーチャージャーのバイクに乗った際に異次元だと思いましたが、電気は電気で違う世界があり、ハイブリッドはレシプロや電気だけでは実現できない楽しい世界が待っていると思いますので、日本で登場するのがとても待ち遠しいバイクです!
【小林ゆきさん略歴】
横浜育ちのバイクブーム世代。バイク雑誌の編集者を経て、現在はフリーランスのライダー&ライター。バイクを社会や文化の側面で語ることを得意としている。愛車は総走行距離25万kmを超えるKawasaki GPz900RやNinja H2など10台。普段から移動はバイクの街乗り派だが、自らレースに参戦したり鈴鹿8耐監督を経験するなど、ロードレースもたしなむ。ライフワークとしてマン島TTレースに1996年から通い続け、モータースポーツ文化をアカデミックな側面からも考察する。
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次世代の動力を使った驚きのバイク「Ninja7 Hybrid」
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